2留大学生(元)の考えている事

1浪・1留はたくさんいても2留以上は滅多にいない。珍しいこの存在がどんな事を考えているのか。

やっぱり言語って限界だらけ

言語化は情報を削ぎ落すと書いてきたが、そうであるなら言語を使いながら単に言葉の意味だけではなく読み上げた時のリズムやそこから想起するものが元の情報にどれだけ近づけるかが重要だ。「玉ねぎ、にんじん、じゃがいも」とパソコンを用いて明朝体で打ち込み印刷したメモだけ見ると「カレーライス」「肉じゃが」「オニオンスライス、馬の餌、ソラニンの分析」等と想起するものにバラつきが多く出る。だから表現方法を考えないと上手くいかない。

僕の目の前にある白いコップについて書く時に単に「白いコップが机に置いてある」だけでは全然足りない。かといって「数年使った少し灰色がかった内側に茶渋のついたコップ」等とどんなに言葉を継ぎ足しても目の前のコップそのものを表現できない。このコップそのもの(多分これがプラトンが初期から散々言ってる物そのものの話だと思う。イデア?それとは違うか)を表現も出来無いし、僕が五感で感じたこのコップに対する頭の中の像を表現するのに正攻法では無理なので、コップと言う単語を使わないほうがむしろ近づけることだってある。まずは僕の頭の中で特に何の役割としてコップが存在するかを考える事が重要だ。飲み物を入れる物が100%ではないだろう、もちろん時と場合でパーセンテージは変化するが紙の上に乗せる重石にもなれば、太陽光からの遮蔽物にもなる、マウスを動かす時の障害物にもなるし、ロウソク立てにもなる。太陽光からの遮蔽物としても東から昇って西に落ちる過程でコップの影は変化するので光から守りたいものを全ての時間で庇う事は出来ない。時間によってコップと太陽の強さの不等号は変化するし、真上から光を落す蛍光灯相手なら敗戦確実だ。

コップは飲み物を入れるための物として作られただろうがその役割を果たしている時間は圧倒的に少ない。お茶を入れて20時間放置とかは余程疲れてるか飲み忘れて外出でもしない限りは無いし、実際に飲み物が入ってる時間なんて1~2時間位だろう。他の時間は上に書いたとおりに重石の用途や、水切り籠や食器棚を飾るディスプレイとして存在する時間がほとんど。僕の場合は机に置いてる時間が長いし、風から紙を守る為に載せる事が多いからコップは重石としての役割が重要だし飲み物を入れる用途は2番目以降だ。

じゃあコップの事を「円柱状でくぼみがある重石」とでも呼ぶか?これでもコップをまとう雰囲気やオーラのような物を表現できない。そして、この雰囲気を本物に出来るだけ直接の説明なしに表現できる人が文豪と呼ばれるのだろう。俳句もそうかもしれない。松尾芭蕉の有名な「古池や蛙飛び込む水の音」も単に文字から読み取れる情報だけでなく彼が見た光景の雰囲気が何となくわかる。しかし、これも本物の雰囲気の情報では無く別系統から攻めていった結果似たような雰囲気になった、と言う方が正しい気がする。